A1 miniを購入して、「とりあえず印刷できる」状態から一歩進むと必ず直面するのが「フィラメントの湿気問題」ですね。
以前、A1 miniを買ったら揃えるべきアクセサリー記事でも触れましたが、今回はその「防湿庫(ドライボックス)」をDIYしてみました。 結論から言うと、「時間はかかるが、市販品を買うより圧倒的に満足度が高い」です。

今回は、Bambu Lab A1 miniのビルドプレートサイズ(180mm角)でも印刷可能な、MakerWorldの優秀なモデルを使用した制作ログをお届けします。

- 結論: イノマタ化学「乾物ストッカー6.0」が、シンデレラフィットする最強の防湿庫になる。
- メリット: スプールローラー、シリカゲルケース、直接供給(ダイレクトフィード)機能がオールインワン。
- リターン: 1個あたり約1,500円(ケース+継ぎ手+湿度計+フィラメント代)と比較的安価にDIYが可能。
- 注意点: 全パーツ印刷に約15時間かかる。ネジなどの予備パーツは省略して時短するのが吉。
Bambu Lab A1 miniはAMS(自動素材供給システム)Liteが優秀ですが、私のように「AMSなし・単色運用」のユーザーにとっては、このDIY防湿庫こそが最適解になり得ます。 なぜなら、防湿庫から直接プリンターへ供給できる仕組みを作っておけば、「蓋(供給ポート付き)を付け替えるだけ」で、湿気を防ぎながらフィラメント交換が可能になるからです。全てのケースに継手を付けても良いですが、加工の手間やコスト的な事を考えると最小限に抑えるのが良いと思います。
採用モデルとイノマタ化学「乾物ストッカー」
今回使用したのは、MakerWorldで公開されている以下のモデルです。

- モデル名: DIY Filament Drybox V2 (Inomata-k Dry food stocker)
- ID: 935710
- 対応機種: A1 mini(プレート分割済みプロファイルあり)
日本のDIYer御用達、イノマタ化学の「乾物ストッカー6.0(またはパスタストッカー)」に完全にフィットするように設計されています。
なぜこのモデルなのか?
最大の理由は、A1 miniの小さなビルドプレート(180mm×180mm)でも印刷できるように、パーツが巧みに分割されている点です。通常、この手の大型ホルダーはA1 miniでは印刷できないことが多いのですが、このモデルはパズルのように組み合わせて完成させることができます。

実録:印刷時間15時間の壁
A1 miniで実際にスライスしてみた結果がこちらです。

15時間と聞くと怯むかもしれませんが、「寝ている間」や「仕事中」に分割して印刷すれば意外とすぐです。
時短のための「引き算」戦略
今回、私は全てのパーツを印刷したわけではありません。 モデルには「印刷して作るプラスチックネジ」の予備分が含まれていたりするので、なくても困らないパーツなどを省力することで、印刷時間・フィラメントを節約することが可能です。
モデルに含まれる印刷パーツ
- サイドフェースV2セット x1 → 湿度計ホルダーが無い方は印刷しない
- 分割ステージV2セット x1
- 分割ステージV2用シリカゲルケース x2 → 無くても大丈夫
- スプールバー(シリカゲルケース兼用)
- サイドパネル x2
- 分割ステージ用ジョイント x2
- 六角ネジ x6 (3mmサイズ サイドパネル用 予備2個) → 予備2個分は不要
- 穴あきネジ x4(ステージ固定用)
- 底蓋用シリカゲルケース x2 → 無くても大丈夫
- PTFEチューブ継手取り付け用ボルトナット x2 → 継手を付ける蓋を1つで運用するなら初回のみ
- PTFEチューブ継手用栓 x1 → 継手を付ける蓋を1つで運用するなら初回のみ
印刷と組み立ての流れ
まずは骨格となる大きなパーツから。ハニカム構造が美しく出力されます。A1 miniの精度なら、分割パーツの勘合も調整なしでパチっとハマります。
プレート毎に印刷時間がかなり変わってくるので、空き時間に併せて順番を決めるのが良いと思います。
接着剤不要で組み立て可能です。
六角ネジは、手持ちのレンチではうまく回らず、ラジオペンチで無理矢理回して固定しました。
完成:シンデレラフィットの快感
実際に組み上げて、フィラメント(1kgスプール)をセットし、イノマタのケースに入れてみました。



見てください、この収まり具合。


ケースの底面にローラー台座がジャストフィットし、スプールの回転も非常に滑らかです。 特に秀逸なのが、スプールの「穴」の中にシリカゲルケースが収まる設計。デッドスペースを無くし、フィラメントの最深部から除湿を行う理にかなった構造です。
【みうラボ判定:ランクA ⭐⭐⭐⭐☆】
- ✅ 推しポイント: A1 miniで作れるサイズ感と、デッドスペースゼロの収納効率。
- ⚠️ 惜しい点: 印刷時間が長い。別途、湿度計とPC4-M10継手が必要。
- 💡 結論: AMSなしユーザーなら「必須」。フィラメントの品質保持に直結する。
【制作コスト詳細】
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ケース本体 | イノマタ化学 乾物ストッカー6.0(約100均〜数百円) |
| 材料費 | PLAフィラメント 約350g(約800〜1,000円) |
| 追加部品 | 円形湿度計、PC4-M10継手(別途購入が必要) |
| 合計コスト | 約1,500円〜2,000円 / 1個 |
DIYせずに比較的安価な完成版が欲しい場合はこれ
1つ2,000〜2,500円程とDIYするケースよりは少し高くなりますが、同様の機能を持った製品も販売されていましたので、時間はかけずにできるだけ安く導入したいという方にオススメです。


今後の展望:蓋の加工と「単色運用」の最適解
現在は、ストッカー内部のホルダー類が完成し、すでにフィラメントを入れて運用を開始しています。
専用設計に合わせて、以下のパーツを追加注文しました。これが届けば「完全体」になります。
1. 湿度計と継手の追加(到着待ち)
専用設計に合わせて、円形のデジタル湿度計と、テフロンチューブ(PTFE)を接続するための継手を注文中です。これが届けば、ケースの外から湿度管理ができ、さらにケースから出さずに直接A1 miniへフィラメントを供給できるようになります。

2. 「蓋」の使い回し戦略
AMSを持たない私の運用最適解はこれです。
- フィラメントは全て「乾物ストッカー+内部ホルダー」で保管。
- 「継手付きの蓋」は1つ(または少数)だけ作成。
- 使うフィラメントのケースに、その「継手付きの蓋」を付け替えて印刷開始。
全てのケースの蓋に穴を開けて継手を付けるのは手間もかかります。中身(ホルダー)は全ケース分用意し、インターフェース(蓋)は使い回す。これが最もミニマルで合理的な運用だと考えています。
まとめ:3Dプリンターを買ったら通るべき道
15時間の印刷は長く感じるかもしれませんが、完成した時の達成感と、その後のフィラメント管理の楽さを考えれば、投資対効果は非常に高いです。
もう少し予算を掛けて8,000円程で乾燥機能付きのフィラメントケースを買うという手もありますね。
特にA1 miniユーザーにとっては、「自分のプリンターで自分のための道具を作る」という最高の体験になるはずです。部品が届き次第、蓋の加工編も追記・更新したいと思います。
もし、印刷待ちの間に「もっと自動化したいな…」という欲が出てきたら、将来的には自動チェンジャーの導入などを検討するのも面白いかもしれませんね(沼ですが)。

